産業経済研究要約

IMF融資条件の構造改革と国際金融システム(上) 伊豆 久
  IMF(国際通貨基金)の融資条件は、1960年代までは事実上マクロ的な安定化政策のみから成り立っていたが、70年代から少しずつ構造的条件(構造改革政策)が付加されるようになり、80年代半ばから90年代末にかけてその傾向は顕著になる。そして、この融資条件の構造改革化は、同時期における金融のグローバル化を背景とし、かつまたそこに大きな影響を与えるものであった。本稿はその過程を明らかにしようとするものである。
 本号(上)では、本稿の問題意識を述べたのち、まず、60年代における融資条件がマクロ的な需要引締め政策であったことを、その理論的ベースとされたマネタリーアプローチとの関係の再検討から明らかにする。次いで、80年代のミクロ的構造改革政策が、市場メカニズムの活用による生産性の向上を目標としていたことを、融資条件における財政政策の性格転換から検証する。

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