産業経済研究要約

合併後の行財政改革答申 ― 福津市と柳川市の比較を中心に― 世利 洋介
  合併後の行財政改革答申の在り方について, 福津市と柳川市を事例に, 有効 性, 合併後の特有な財政問題, そして財政運営の弾力性の回復, という視点か ら検討した。両市にあっては, 目標に適った手段あるいは市民ニーズの充足と いう有効性の視点を導入することで, 総合計画や協働(共働) と連携する形態 を含有した行財政改革を提言している(T)。また, 合併による規模の経済性 (U), 経常収支比率の悪化と経費削減の限界(V), 財政構造上の地域特性 (W) を明らかにした上で, 答申での提言事項の適否を検討した(X)。両答申 では, 協働(共働) の推進と市民の視点(市民の評価) の導入が一つの要となっ ているが, 協働の実態まで踏み込んだ内容になっていないこと, また一般財源 枠配分型の予算編成と歳出面での担当部署の裁量権の拡大を提言しているが, この場合は配分基準にまで踏み込んでいない点等を指摘した。

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