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ケンダルLETS
(背景)
ケンダルの町並みとケント川の清流
LETS(Local Exchange Trading System) は、20年弱前にカナダのコモックスバレーで始まった地域内バーターシステムであり、現在、世界2000箇所以上に広がっている。その基本的仕組みは、メンバー間で財やサービスのやりとりをするときに、各自が帳簿上の債券・債務として地域通貨を発行し、その残高が一定期間の後にゼロになることを目指すというものである(だから紙幣はない)。ヨーロッパでは特に、市場ベースに乗りにくい相互扶助活動の発展でコミュニティーの人間関係を醸成することを主目的として取り組まれているものが多く、イギリスでも全英各地にLETSがある。
ケンダルは湖水地方にある人口2万5千人くらいの美しい町で、市内をケント川の清流が流れている。日本国内ではマンチェスターのLETSなど、大都市の事例はしばしば報告されているが、地方小都市での取り組みはほとんど伝わってこない。そこで、全体の旅程の中で好都合なケンダルのLETSを調査対象に選んだ。
(写真)ケンダルの町並みとケント川の清流
ケンダルLETSホームページ
説明してくれたリックさん

(調査概要)
市内喫茶店で、ケンダルLETSの会員管理の担当者に説明を受けた。
(写真)説明してくれたリックさん

  1. 設立と現状
    4年半前に20人で始め、2週間の内に40人が加わった。未経験者ばかり。 現在300人くらいの会員で約200口座ある。うち活発に取り引きしているのは200人くらい。昨年は総計300ドル相当の労働が取り引きされた。たまに、普通はできないことをしてもらうという実際的な理由で参加している人もいる。しかし本来ここは社会的(社交)団体であり、ビジネス団体ではない。単なるお金の節約の手段ではない。
  2. システム概要
    会員に会員リストとサービス一覧が渡され、それを見て取り引きする。支払いは小切手を書く。全員の口座を各自が見ることができる。通貨単位は市内の川の名にちなんで「ケント」。システムは銀行のように機能する(毎取引は管理人に報告され、そこで各自の口座が記録される)。コンピュータがあるから楽。
  3. その他の活動
    運営機関がコピーサービスを提供している(現金でもケントでも払えるらしい)。また、メンバーが食事を持ち寄ったりして懇親するパーティを開いている。そこでは知らない人々が顔をあわせ、互いにコミュニティーの一員になる。
  4. 運営
    5人の管理人が運営している。ウェブの担当者以外の4人は最初からのメンバーである。運営にかかった労働の報酬は、時間で計算して、ケントで払われる。会議は勘定しない。お茶を飲み楽しみながらやっているので。2人はたくさん働いている。設立時にはたくさん仕事をした。500k分。これは凍結されていて、運営負債(administration debt)勘定から漸次払われる。これは、転出する人の持つ赤字をポンドで払ってもらって貯めたもの。ほかにこれでコピー機を買ったりもした。
  5. 課税の問題
    課税は原則されないが、本業の仕事をすると課税される。収支差に対してかかる。
  6. ケントの価値
    1ケント=1ポンドというのは目安。こう言えるかと言うと難しい。他のところでは固定している例もある。時間で表す場合には、1時間=5ケント。この場合、すべての人の1時間は同じ価値を持つということを目指す。
  7. これからの課題
    カフェーや商店のメンバーがいない。大型郊外店ができて地域の商店は困っているので、例えば1割を地域通貨で引き受けるようにするならば、地域通貨を受け取った人は地域の商店に行くだろう。現在、有機農業をやっている人がLETSのネットワークで売っている例はある。
    労働党の支部が支部として加盟したいと言っている。これをメンバーとみなすかどうか。参加制限はないが、政治団体の加盟を許すと難しい問題がある。フレンズ・オブ・アースとグリーンピースは加盟している。コミュニティーセンターも加盟している。
  8. 会費
    入会金は現金で払う。年会費は、運営機関が支出したケントをメンバーで割ってケントで徴集する。
  9. 支出だけする人について
    サービス提供をせず支出だけする人は、5年間の間に1人だけいたが、この人は、たくさんの援助を必要とする人だった。みんなその事情を理解していた。規模が大きくなると問題になってくるだろう。福祉基金みたいなものを取るのもいいかもしれない。(現在、不良債務勘定 bad debt account、福祉勘定 benefit accout というものがあるらしい。)